前頭側頭型認知症の症状や事例別でみる対応の仕方

前頭側頭型認知症は4大認知症の一つです。
脳が委縮する病気で、名前の通り委縮する場所は前頭葉と側頭葉。
今回は前頭側頭型認知症の症状や事例別でみる対応の仕方を説明します。
前頭葉が委縮したらどうなるの?
前頭葉は思考、やる気、感情、理性、性格などを司っています。
これらが委縮すると社会性がなくなり、自身の思う事をやりたい放題であったり、身勝手な行動が増えます。
つまり社会性や人間の知能の高さを保つうえで重要な場所が働かなくなっているという事です。
側頭葉が委縮したらどうなるの?
えんぴつ等の簡単な言葉が分かりにくく、家族の事や鏡で自分の姿を見ても分からなくなります。
これは左と右の側頭葉が存在し、左では言語中枢は簡単な言葉でも意味が分からなく、右の側頭葉は視覚性の意味を理解できなくなるためです。
さて、これまで説明した前頭葉と側頭葉が委縮したら、どういった症状が起こるのか?詳しくみていきましょう。
常識のない行動
万引き
信号無視
無賃乗車
反社会的な行動をしてしまうのですが、本人からはわざとしているというかは欲求のままに行動。
身勝手で乱暴
今まで優しかった人に対して急に態度が変わり乱暴な言葉を発したり、人格が変わってしまったかのような症状がおこります。
嫌な事があると暴力をふるったり、大声で怒鳴ったりするといった様子がみられます。
表情に怒りはなく少し眠たそうな無表情に近いのが特徴です。
言葉の意味が分からない
最初のうちから言葉の意味が理解できない、といった事ではありませんが、はじめは自発的に話し、日常会話も成り立ちます。
ただ、聞き手はどっち?と聞かれても意味が理解できず、答えられないといった事も。
(別の答えを繰り返したりします。)
そして病気が進行すると徐々に、語彙が減少し限られた単語しか話せなくなります。
語彙とは、その方が持っている単語の数。
空間認知能力の低下
空間を認知する能力が低下するので物にぶつかりやすくなったり道に迷いやすく、はさみなども使えなくなります。
他にも上下・左右の空間を認識機能がうまく働かなくなります。
動作として出来なくなる事として右手の特定の指で左の耳たぶをつまむ等。
常同行動
同じ動作や行動を繰り返す事が見られます。
机をガンガンとたたき続けたり、毎日同じ場所へ出かけたり同じものを食べたりするのも特徴。
反響言語
同じ言葉を繰り返したりします。
例として、相手が「今日は元気ですか?」と聞けば利用者さんが「今日は元気ですか?」と質問をオウム返しします。
反響言語はテレビから聞こえてきた言葉も繰り返すのです。
認知症でも、その人らしいを実現させるために
前頭側頭型認知症の方は前頭葉と側頭葉が委縮しておこる病気ですが、これまでに説明した症状があり望んでる生活を実現させるといった意味では、ちゃんとした対応が必要になってきます。
それは日常で「意味があるからやりたい事をする」と、その人らしい人生の歩み方を実現させるのと同じです。
例として前頭側頭型認知症の方が常同行動として机を叩き続けると、周りからしたら「音がうるさくイライラする…」といった嫌な気持ちになります。
介護者が「そんな事やったらダメ!」と言うと、利用者さんはやりたい時にやりたい事をしているので嫌な思いをしてしまいますね。
しかし、叱ったりするよりも違ったケアの仕方で利用者さんの生き方は変わってきます。
では、前頭側頭型認知症の方は、どういった事例があって対応の仕方をすればいいのか?説明します。
商品を購入せず、食べる・万引きする
通常であれば売っている商品は購入して食べるものですが、前頭側頭型認知症の人は欲望を制御する事ができないので、「ほしい」、「食べたい」と思えばお金を支払わず、その場で食べたり、お店から持ち出したりします。
介護者からしたら「食べるのは良くない!」「お金を払うので待ってくれませんか?」となりますが、お店から持ち出したりすると万引きになってしまうので良くありません。
もし利用者さんが前頭側頭型認知症の場合「お店のものは商品だから食べてはダメ」「先にお金を支払ってから食べましょうね」と、伝えても当たり前のようにほしいものをとっただけと反論されます。
それでは前頭側頭型認知症の方が「食べる・万引きする」といった行動については、どのような対応の仕方があるのか?説明します。
店の人と支払い方法をあらかじめ決めておく
利用者さんが良く行くお店の方に「この方が買い物すると、私がお支払いします」と写真を見せておきます。
最初に了承を得ていれば、介護者が知らないうちに利用者さんが店の商品を食べてしまった場合でも、店員さんから連絡を受けたりする事もできますよね。
行きたい時に外出する
前頭側頭型認知症の方は周りを気にせず、雨が降っていても行きたい時に外出するのです。
介護者が「今は雨だし…やめとかない?」と声をかけても利用者さんは「それじゃ急いで行くね」と言って、状況に対して理解できず自身のやりたいようにします。
「雨降ってたら外に出たらダメじゃないですか?」と、利用者さんに分かってもらおうと説得しても本人から「私は悪くない!外に行かそうとしないお前が悪い!」と言われてしまうだけです。
つまり利用者さんが「今はこれをしたい!」と思った時に止めるのは良くないんですね。
前頭側頭型認知症の方は「好きな事をやりたいだけ」と行動するのですが、介護者側が「今はダメ!」といった利用者さんが「なんでダメなんだ!」と言い合いになったりする以外の対応の仕方はないのでしょうか?
介護をする時の理想は利用者さんに寄り添う事が大事です。
そして、次のような対応をするようにしましょう。
基本は利用者さんがしたいようにやってもらう
前頭側頭型認知症の方は机の上を叩くといった常同行動(なぜ叩くのか原因が分かる必要があります)や、一般から見ると万引き(よく行くお店の方と支払い方法を決めておく)等も理由があってやっています。
体も元気なので基本的にはやりたい事は気が済むまでやってもらうようにしましょう。
今回は前頭側頭型認知症の症状や事例別でみる対応の仕方を説明いたしましたが、その症状もストレス解消にと常同行動(机の上を叩いて大きな音を出す)がみられる場合もあります。
そんな時に介護者側が「やめてください!」と手を止めたりするよりかは利用者さんの伝えようとしている事を聞いてあげるのが大事です。
普段、当たり前のように生活していても家族の方が、前頭側頭型認知症になってしまった場合はケアの仕方を知っておく必要があります。


