アルツハイマー型認知症の混乱期・依存期・昼夢期の見分け方やケアについて

アルツハイマー型認知症の方は混乱期・依存期・昼夢期があり、3期分類に対応するケアの仕方が大切です。
BPSDである「認知症の行動・心理症状」を悪化させない事で寝たきり状態を防ぐ事ができます。
それには適切なケアの仕方が必要ですが、アルツハイマー型認知症である利用者さんが「混乱期・依存期・昼夢期」の、どの部分に分類か?知る必要があるのです。
それでは3期分類(混乱期・依存期・昼夢期)の見分け方・必要なケアについて説明します。
混乱期(苦しそうで怒っている表情)
- 眉間にシワを寄せる
- 眉がつりあがっている
- 目つきが険しく目を合わせない
怒りだす、逃げだそう、夜中に歩きまわるといった介護者に対して行うものもあれば、利用者さんの行動をほっておくのも危険ですよね。
混乱期の利用者さんについて
怒りだすといった混乱期の症状は脳が興奮状態で、そこに不眠が重なり、せん妄や幻覚といった症状が起こります。
この時期は「自分の周りには敵しかいない」と思い込んでいるので目にするもの、耳にするもの、すべて自分を傷つけるものに見えたり聞こえたりするのです。
例として介護者が混乱期の利用者さんにご飯を差し出すとします。
利用者さんは嫌そうな表情でいるとしますが、介護者はご飯を持ってきたのだから「食事をテーブルに置いておきますね」と目の前近くに持っていくとすると利用者さんは「やめてくれ!!」と食事を振り払うのです。
これはアルツハイマー型認知症の混乱期である利用者さんには介護者が恐ろしいものや姿に見えている…。
先ほど混乱期は脳が興奮状態にあって不眠によるせん妄や幻覚から「介護者が持ってきたのは食事ではなく包丁で自身は殺されるかもしれない」といった不安から食事を突き飛ばす行為をしたのです。
もちろん介護者が別の恐ろしいものに見える場合もありますが、利用者がしている行動として暴言や暴れたりするのは周囲が怖いものに見えたので身を守ろうとしているという事です。
つまりアルツハイマー型認知症の混乱期は声かけや接触は良くありません。
介護者がやさしい言葉をかけたり、どこかに行こうとするのを止めようとするものですが、利用者さんは妄想の世界にいるので、介護者の「大丈夫ですか?」「怖くないですよ」といった言葉が「殺す」といった言葉に聞こえるのです。
混乱期のケアはどうすればいいの?
基本的には安全な環境で離れて見守るようにしましょう。
「こっちに来るな!!」
「出ていけ!!」
アルツハイマー型認知症の混乱期の利用者さんは、こういった言葉を発しますが、これについてはアルツハイマー型認知症の混乱期で身を守るためなのです。
つまり介護者が良かれと思って食事を持ってきて振り払おうと拒否したり、ベッドから飛び出そうとどこかに行こうとするのは利用者さんが身の危険を感じているという事。
介護者ができる事としては危険なものを取り除く、少し離れて様子を見るのがいいでしょう。
依存期(困ったような表情)
- 目尻が下がりおどおどした目つき
- 眉間にシワを寄せている
- 眉がハの字形に垂れ下がっている
怒りだす、暴言や暴力、同じ訴えを繰り返す、人を呼ぶ、さびしがる・すぐ泣くといった事がありますが、これらは利用者さんがわざとしているワケではありません。
他の利用者さんに介護者がやさしくしているとこを、依存期である利用者さんが目撃するとします。
「自分にはやさしくしていないのに、何で他の人にはやさしくするんだ」
自分は大切にされてない、と思い込み怒りがおさまらなくなるのです。
そして「人を呼ぶ」についても、例として夜中に何度もナースコールを鳴らしたり、何度も人を呼ぶ場合があります。
介護者からしたら「なぜ迷惑行為をするの…?」と思えますが、利用者さんは眠れないので一人でいると寂しいといった気持ちでいるのです。
依存期の利用者さんについて
混乱期は怒ったりといったのが特徴的でしたが、依存期は困ったような表情で「甘えたい」という気持ちがあります。
見極め方も分かりやすく、言う言葉が具体的であるという事です。
例としては「他の人よりご飯の量が少ない…家族にいじめられてるんだ」
ただ、他にも暴力や暴言を吐く事がありますが、それは不安な気持ちで寂しい・話を聞いてくれない・仲間に入れてほしいといった現れでもあります。
依存期のケアはどうすればいいの?
共感してあげる・話を聞いてあげる事が大事です。
「俺の話を聞いてくれ!」
そうイライラして、介護者に怒鳴ってしまう場合があります。
アルツハイマー型認知症の方が急にイライラして「うるさい!」といっても、なんの事かわかりませんが、依存期である「話を聞いてあげる」という事をしてあげてみてはいかがでしょうか。
混乱期や依存期でも怒る事には理由があるのです。
昼夢期(ぼんやりとおだやかな表情)
- 眉間のシワはなくなる
- 笑顔が見られるようになる
介護者を家族、施設を家と思い込む、独り言、一人遊びをする、若い自分に戻る、家に帰ろうとする、といった、混乱期や依存期に比べると認知症としての怒る・暴力といった行動がおさまってきます。
これは昼夢期といわれる安定期に入ったからです。
ただ、この時期は時間の概念をなくす、自身の置かれた状況を正しく理解できなくなるのです。
上記のアルツハイマー型認知症、昼夢期の症状でも「他人を家族と間違える」「若い自分に戻る」といった、自分がつくり上げた世界のなかで生きるようになり、実際には見えないはずの恐怖を伴わないものがみえたり、聞こえないはずの音が聞こえたりすることもあります。
昼夢期の利用者さんについて
アルツハイマー型認知症で混乱期から依存期、次に昼夢期となると表情がおだやかになり笑顔も見られます。
見極める方法も利用者さんが「幸せだったころに戻っている・自分の世界に浸っている」「怖いものではなく普通に会話し楽しそうにしている等の幻視や幻聴がある」事です。
介護者を家族と間違えてしまい、実際には違う名前(花子)で呼ばれ「私は花子じゃないですよ、間違っています」等と言うのは良くありません。
昼夢期のケアはどうすればいいの?
言動に合わせる・満足するまで続けさせる事、が大事です。
「このティッシュペーパー使えるんじゃないの?」
ゴミ箱に捨ててあったティッシュペーパーを拾って、大切に引き出しにたたんでしまう場合があります。
こういった行為を止める事は解決にならないのです。
「汚いからやめて!」と強くいっても利用者さんにとって必要な行為や宝物だったりします。
アルツハイマー型認知症で昼夢期のケアとして「満足するまで続けさせる事」が大事と言いましたが、利用者さんがゴミ箱の中を拾って集めるようであれば、見守りながら不潔なものは少しずつ処分をするのがいいでしょう。
また、集めているものを処分し、なくなったのを気づかれたときは「必要だったから使わせてもらった、後で新しいものを入れておく」等と言うようにします。
アルツハイマー型認知症のケアは介護者の対応が必要
アルツハイマー型認知症は混乱期・依存期・昼夢期と3期に分類されますが、やろうとする行為を止めたり、否定したりするのは良くありません。
BPSDの多くは認知症と診断される前から見られ、BPSDが悪化すると介護が困難になる事もありますが、体に比べて脳ばかりが衰弱し、脳の機能が低下します。
そして結果として体は動くはずなのに、寝たきり状態が長く続くようになります。
早めに適切にBPSDへの対処する必要がありますが、それには介護者の対応も必要になってくるのです。


